【進撃の巨人ネタバレ】第114話「唯一の救い」あらすじ考察
「進撃の巨人」第114話「唯一の救い」より引用
進撃の巨人の最新話、第114話「唯一の救い」のあらすじ説明、考察記事です。ネタバレ全開なので注意してください。
今回は、「『始祖の巨人』の能力についての新事実発覚」「ジークの真の目的判明」「リヴァイ兵長死亡!?」など、いつにも増して重い話になっています。
まだ別マガを読んでいない方は、ぜひあらすじからご覧ください。
第114話「唯一の救い」あらすじ
グリシャと
幼き日のジーク……
幼少の頃のジークとイェーガー夫婦が、塔から自分たちの住むレベリオ区を眺めるシーンからスタート。
エルディア人だというだけで差別を受けるイェーガー親子。
グリシャはジークに「この世界がイヤなら 変えなければならない ジーク…お前が みんなを救うんだ」と言い、ジークは巨人の継承者になるべく訓練に励む。
グリシャとダイナが復権派の集会に参加するあいだ、祖父母のもとに預けられるジーク。そこではいつも、父母に聞かされるのとは反対の、エルディアの負の歴史を教え込まれていた。
親にはエルディア復権のための思想教育を施され、祖父母には相反する教育を受け、厳しい訓練にはついていけず…一般的な子供とは全く別の幼少期を送るジーク。
彼はその状況に疲れていた。
そんなジークを救ったのは、「獣の巨人」を保有する巨人学の研究者、トム・クサヴァーだった。
クサヴァーとのキャッチボールと、彼の「どうも君は筋がいいな きっとピッチャーに向いてるぞ」「君は戦士なんて馬鹿らしかったんだ」「この世界じゃ珍しい まともな者同士さ」という発言に、唯一の救いを見る。
一方、公開訓練で息子の情けない姿を見たグリシャは、ジークを見限る。
別に戦士になる必要はない、収容所から出られなくても良い。そう思いはじめたジークだったが、父たちの組織が当局に嗅ぎつけられたことを知る。
「もう…危ないことはしないで… 見つかったらみんな楽園送りなんだよ?」「そのためなら… 僕はフェイおばさんみたいになってもいいの?」
「進撃の巨人」第114話「唯一の救い」より引用
必死に父の説得を試みるジーク。しかし父は全く取り合わず、追い詰められたジークはクサヴァーの助言もあり、両親を告発する。
楽園送りにされるグリシャとダイナ。
―――時が経ち、ジークは美青年に成長。クサヴァーは任期終了が近づいている。
相変わらずキャッチボールをしながら、会話をする2人。
「『ユミルの民』なら体の構造をも変えてしまうことができる」と、「始祖の巨人」の能力について語るクサヴァー。
600年ほど前に伝染病が流行ったときには、当時の王がその力で「『ユミルの民』の体の設計図を都合よく書き換えた」ことで、エルディア帝国から伝染病が消えたことを説明する。
驚きつつも、何かを思慮しているような様子のジーク。
「…じゃあさ 『ユミルの民』から子供ができなくすることもできるかな? 『始祖の巨人』の力を使えば」
ハッとするクサヴァー。
「そもそも僕らは生まれてこなければ 苦しまなくてよかったんだ」
そのジークの発言に、クサヴァーは自分の真意を打ち明ける。
エルディア人であることを隠しマーレ人との間に子をなした結果、妻と子供を失ったこと。その罪から逃れることが、彼が戦士を目指した理由だった。
「私なんてこの世に生まれてこなければ… どんなに良かっただろう…」
クサヴァーの嘆きを聞いたジークは、「獣の巨人」を継承することを誓う。
そして「始祖の巨人」を奪った暁には、世界の人々を巨人の恐怖から、そしてエルディア人を苦しみから解放するべく、全てのエルディア人をこの世から消し去ることを決意するのだった。
―――場面は戻り、馬車の荷台でつぶやくジーク。
「唯一の… …救い エルディアの …安楽死」
「進撃の巨人」第114話「唯一の救い」より引用
その言葉にリヴァイが反応し、ジークに近づく。
するとジークは、おもむろに「クサヴァーさん見ててくれよ!!」と叫びながら身をよじり、雷槍の信管を抜く。
爆発が起こり、体が四散するジーク。そして、同じく爆発を受け吹き飛ばされるリヴァイ。
慈悲深き男が
エルディア人の
命を奪う……。
第114話「唯一の救い」感想と考察
第114話「唯一の救い」は、ジークの哀しい過去をはじめ、巨人の謎がまた1つ明らかになった話でした。わかったことは以下のとおり。
- ジークが両親を売った理由
- トム・クサヴァーの存在
- 「始祖の巨人」が「ユミルの民」の記憶を奪うだけでなく、体の構造を変えられること
- エルディア復権、地鳴らし等が目的なのはウソであること
- ジークの真の目的
前回ジークは、リヴァイから逃げながら「お互いを信じることができなかった」と言っていましたが、ウソを付いておきながら素晴らしいセリフを吐くものですね。
それでは、気になったポイントを1つずつ確認していきます。
「始祖の巨人」は「ユミルの民」の体の構造を変えられる
今回明らかになった新事実で最もインパクトがあったのは、「『始祖の巨人』は『ユミルの民』の体の構造を変えられる」ということです。
めちゃくちゃ驚きの後出しジャンケンですが、そういうことをサラッとやって、かつ読者に納得させるのが諫山先生はとても上手いので、今回も乗り切ることでしょう(笑)。
その能力の詳細はまだわかりません。遺伝子か何かに直接働きかけるものなのかと推測できますが、いかんせん情報が足りないため判然としませんね。
しかしジークもエレンも、その能力を目的のために使おうとしていることはハッキリしました。
今後、能力について細かい説明があるかはわかりませんが、他の伏線とあわせて注目していきたいです。
「不戦の契り」の解釈が変わる
ところで、上記の「『始祖の巨人』は『ユミルの民』の体の構造を変えられる」という話をもとにすると、「不戦の契り」の持つ意味が変わります。
それは、「レイス家は遺伝的に『始祖の巨人』の能力を発動できなくなっているのではないか」ということです。
今までは、「不戦の契り」とはあくまで、145代フリッツ王の”思想に捕らわれて”行使できないものと考えられてきました。
しかしよくよく考えると、行動を制御しているものが思想だけであるなら、王家の血筋の者がどこかの代で「やーめた。俺は戦うもーん」と考えを覆せば、アッサリ反抗できてしまいそうです。
そうならないようにするには、”体の構造を変えて”「始祖の巨人」の力を発動できないようにするのがベストです。
つまり、カール・フリッツは壁を作り、壁の民の記憶を改ざんした後、自らの体の構造を変えたのではないでしょうか。
レイス家の人間は、その”構造が変わった体”を遺伝するため、「王家の血筋の者だけが『不戦の契り』に制約される」のではないかと推測できます。
「始祖の巨人」を受け継いだ代々の王が危機に際して何もしなかったのは、民を完全に見捨てていたからではなく、自身にその能力がなかったからなのかもしれません。
この推理が正しければ、エレンがしたような、外部の人間が「始祖の巨人」の能力を発動させることは、想定外の出来事だったと思います。
なぜなら、「始祖の巨人」は島に移る前から代々、王家が受け継いでいたものでしょうから、そんなことを知る機会はなかったと考えられるからです。
もうひとつ、懸念点があります。
この推理が正しければ、「ジークはレイス家ではないため体の構造が変わっていない可能性があり、その場合は『始祖の巨人』の能力を行使できることになる」ということです。
それが事実なら、アルミンの言っていた「主導権はエレンにある」というのは間違いになり、ジークの思い通りに能力を行使できることになってしまいます。
…自分で書いておきながらなんですが、この推理は間違っているほうが嬉しいですね。
ジークの真の目的
ジークの真の目的は「エルディア人をこの世から消し去ること」でした。
「始祖の巨人」の力を使い、「ユミルの民」を子供を作れない体にすることで、エルディアに緩やかに絶滅をもたらし、世界とエルディア自身を救おうと考えたわけです。
ジークの言うところの「唯一の救い」「安楽死」です。
彼がキヨミ様に語った「自分こそが真のエルディア復権派」というのも、エルディア側に語っていた作戦「地鳴らし」も最終目標ではなく、「ユミルの民」の死こそが彼の望むものでした。
ラガコ村の住民たちの件など、ジークにはエルディア人の命をなんとも思っていない節があり、それをリヴァイは嫌悪していましたが、今回の彼のセリフからその真意がわかりましたね。
「…奪ってないよ… 俺は…救ってやったんだ そいつらから生まれてくる子供の命を…」
巨人継承者がある固定観念を持つと、次の代でそれが増幅され、また次の代で…というように、代を重ねるごとにそれはより強くなっていくと思われます。
ジークは「生まれてこなければ良かった」という思いを強く持っています。そして、その思いは同じ思想を持っていたクサヴァーさんの記憶を受け継ぐことで、より強化されたことでしょう。
「九つの巨人」は記憶も一緒に継承するので、前任者の影響を受けやすいというのがメリットであり、デメリットですね。
さて、ジークの考えについて、私は全く賛同できないです。
彼はそれが良いことだと信じ、また自分の使命だと考えているようですが、他のエルディア人にとっては大きなお世話でしょう。
他の「ユミルの民」にも自由意志があり、それは誰にも侵されるべきものではないはずです。ジークの考えは非常に偏っており、それを押し付けることは今を生きる全ての人間への冒涜です。
いままで超然としており、どこか不気味な奥深さを持っていたジークでしたが、その目的には拍子抜けしてしまいました。
もっとも、彼の今回明かされた生い立ちを見ると、そのような考えに行き着いたことには同情する部分もあります。だからといって、とうてい肯定できることではないですけどね。
冒頭で、塔の清掃員がイェーガー親子に投げかけたひどい暴言。
「お前らなんか根絶やしにされて当然だってのに…!! またガキ作って繁殖しやがって!! どうしてまた悪魔を産んだ!?」
グリシャは、塔から自分たちが収容されている小さな町を見せることで、息子に自分と同じように自由への願望を持たせようとしました。
しかし、ジークはそのとき浴びせられた清掃員の言葉、つまりグリシャが願ったのとは真逆の不自由への道を、実現しようとしてしまっています。
なんという皮肉でしょうか。
エレンはジークと目的を共有しているのか
ジークの真の目的が判明したところで気になるのは、「エレンがジークと同じ目的を共有しているのか?」ということです。
私は、「いや、真っ向から対立していないか?」と思いました。
現状、考えられるケースは以下の3つです。
- エレンもジークと同じ目的を持っている
- エレンは別の目的を持っている
- エレンは別の目的を持っているが、操られている
エレンはジークと兄弟水入らずで話したと言っていましたし、ジークは「なぁエレン… 俺達にしか… わからないよな」と言っていました。
この2つから言えることは、おそらく2人は同じ目的を持って行動している、もしくはジークはエレンが自分と同じ目的を持っていると思っている、ということです。
しかし、この2人は性質が全く違います。
ジークは親の愛情を得られず自分は生まれてくるべきではなかったと思い、唯一の救いであったクサヴァーさんがそれに同調したことで、その思いが強化されました。
一方、エレンはおそらく愛情を持って育てられ、幼いころから何よりも「自由」を得るために行動してきました。
ましてやエレンの持つ巨人は、表題を付された第88話「進撃の巨人」において、「その巨人はいついかなる時代においても 自由を求めて進み続けた 自由のために戦った」と説明された巨人です。
出発点も信念も、2人は全く別なのです。
しかもエレンは、マーレでライナーと話した際に「多分…生まれたときからこうなんだ」「オレは進み続ける 敵を駆逐するまで」と言っています。
生まれたときからずっと「自由」を求めて進み続け、今後もそうする、そう言っているように聞こえます。
マーレ編以降、いまひとつその言動から真意をつかみにくいエレンですが、このときは非常に正直に自分の心情を吐露していたように思います。
というわけで、私は「エレンは別の目的を持っている」を支持します。しかも、ジークの目的に同調しているような素振りを見せつつ、密かに自分の中にだけ策を持っているのではないかと考えています。
そしてエレンの目的は、おそらく「全ての『ユミルの民』から巨人化の力を奪うこと」ではないでしょうか。
それによって、小さい頃に誓った「この世から巨人を1匹残らず駆逐する」という目的を果たせますし、世界を巨人の脅威から救い、エルディアを迫害から解放できます。
ただ、ジークもエレンも、マーレで会ったならば、そのときになぜ「始祖の巨人」を発動させなかったのかという問題が残ります。
どちらも「ユミルの民」を操作することが目的ならば、別にパラディ島に移動する必要はなかったのではないでしょうか。
「始祖の巨人」の力を発揮するのに、場所の制約はないと思われます。
もし制約があれば、世界中のどこかに残った「ユミルの民」の体の構造は変えられないため、2人とも目的を果たせません。ということは逆説的に、場所の制約を受けないということになります。
それならばマーレで会ったときに、サクッと発動すれば良かったと思うのですけどね。
実際には”話しただけ”で会ってはいなかったのか、それともパラディ島内で行うべき別の目的があるのか…。いずれ説明があるかもしれませんので、待ちたいと思います。
※ 設定やストーリーを見落としていて、的外れなことを言っていたら申し訳ありません。
2人の目的が一致しているにせよそうでないにせよ、イェーガー派は彼らの真の目的は知らないことは確かでしょう。また、エレンが操られている可能性は依然として残ることも覚えておきたいです。
リヴァイ兵長は無事なのか?
114話を読んだ誰もが思っているのが、「リヴァイ兵長は死亡したのか!?それとも無事なのか!?」ということではないでしょうか。
私は、「無事ではないが致命傷も負っていない」と考えています。
兵長の反応速度なら、直撃を防いだり後ろに飛んで逃げたりすることは可能で、だとしたら頭部や胴体は守ったはずです。
実際、直前のコマでは左足を荷台の縁にかけています(もしくはかけようとしています)。おそらくあの後、縁から後ろにジャンプして直撃は免れた…と思いたいです。
しかし、全くダメージを受けなかったとも考えにくいです。
最後の1コマから判断することは難しいですが、四肢が欠損している可能性は十分にあります。少なくとも足先は損傷しているのではないでしょうか。
もし足を損傷していれば、平地戦での機動力は失われます。立体起動には平地戦ほどの影響はないかもしれないが、着地したり方向転換したりするときに足は使うと思うので、能力減は避けられないでしょう。
また、仮に無事だったとしても、ジークとリヴァイの回復はどちらが早いのかという問題もあります。
ジークの頭部は残っているように見えるので、おそらく彼は生きているでしょう。生きているならば、いずれ回復します。
一方リヴァイは、多少の怪我ならアッカーマンの血の力により治りが早いはずですが、もし四肢欠損などの重傷を負っているとなると身動きは取れず、復活したジークに噛み殺されてしまいます。気絶していても同じです。
近くに川があるので、運良くそこに落ちることができれば、仮に意識を失っていてもジークの復活前に流されて、無事に帰還できるかもしれませんが…。
いずれにしても、リヴァイが心配すぎます。作品内で、彼ほど真摯に人の命を扱っている人間は他にいないと思うので、どうか無事でいてほしいです。
まとめ
今回は、第114話「唯一の救い」の考察を行いました。
ジークの過去の詳細がわかるとともに、「『始祖の巨人』は『ユミルの民』の体の構造を変えられる」ことが判明。それにより、ジークの本当の狙いが「エルディア人の絶滅」であるとわかりました。
一方で、エレンは別の目的を持っており、それは「巨人化自体をなくすこと」だと推測できました。
さらに、「不戦の契り」が”思想に捕らわれる”ことによるものではなく、”身体的に能力の発動自体が不可能”であることによるものだと考察しました。
どこまで当たっているのか、あるいはすべて間違っているのかはわかりませんが、また次回以降の話を楽しみに待ちたいと思います。
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